平成29年6月14日/年の半ばの息継ぎ

ミッキーマウスに彩られたかりゆしウェアを着た大学生の男女が電車に乗り込んでくる。女性が席を探し、仕方無く私の隣に座り、男性が吊革を握り、態勢を崩す。「この格好恥ずかしいかな?上着着よう。変かな?」「ズボンに入れれば大丈夫じゃない?でも、別に普通に着れるよね、これ。」相槌を打ちながら、男性はトレーナーに袖を通し、かりゆしウェアの裾をズボンに入れ、女性に向けてポーズを決める。「大学生活ももうすぐ数える程しかないんじゃない?私は短期の留学もあるし。」「卒研は無いの?」「あるけど、就活終わったら四年生って暇なんじゃないの?」「文系は判らないけど、理学部は卒研があるから忙しいらしい。」「いや、文系だって卒論はあるけど。」「短期留学だと夏合宿も出られないし…でも新歓合宿は出られるのかな?」「えっ、四年生って顔出すんだっけ?」「どうだったかな、いや出るでしょ?」「出るか。」別段、ミッキーマウスのかりゆしウェアは大して目立つ事は無い。但し、ペアルックであるという点を除いて。そして、まるでちょっとした未来に対する無知、楽観的な展望、尚且つ自分達が恵まれた環境にある事に気が付いてすらいないように見える様子を若者という言葉が浮かんだ。

イヤフォンを分けて音楽を聴く時、2人の男女が何を分け合っているのか、俺は知らない。

久しぶりにジムに行き、適当に運動をこなして行く。新たに腕を鍛えてみたが、非常に応えた。

吉田秋生のバナナフィッシュと海街ダイアリーを読んだ。バナナフィッシュより海街ダイアリーの印象が良く、各キャラクターの崩れた顔が割とツボだった。しかし、デフォルメされた世界で無ければ、人々の心情に思い至れないとは一体どういう事なのかと考え、自らの恒常性を保つとは、日頃から傍に居る人々の心情を無視することなのではないかと考えるに至った。

テッド=チャンのあなたの人生の物語を読み終える。「バビロンの塔」、「理解」、「72文字」、「地獄とは神の不在なり」が面白かった。