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幽霊殺人

アルカジー&ボリス=ストルガツキー著、深見弾訳『幽霊殺人』を読んだ。

雪山の山荘を訪れた警察官が事件に巻き込まれ、その真相を突き止めるという内容である。
つまりミステリーであるが、そこはストルガツキー兄弟の作品であり、真相に関わる部分はSFの設定である。
しかし真相がSFであるだけに、主人公の警察官は受け入れる事が出来ない。事件は宇宙人の仕業だと警察官は信じる訳にいかない。しかし実際のところ、警察官は主観的には理解しているのだ。しかし客観的に認める訳にいかない。その立場の苦しさが非常に伝わってくる。それ故、警察官の頑迷さに付き合わされる事になる。この葛藤が本書の面白さである。一方、本書に登場するSF設定に物分かりの良い物理学者は世に理解される事は無かった。警察官の頑迷さを物理学者は許さず、これを悔やみ続けている主人公の在り方に、ストルガツキー兄弟の現実的な繊細さを感じる。

本書を以てストルガツキー兄弟のラドガ壊滅やらアンソロジーに収められた作品を除けば大体邦訳をされたものは読み終えた形になる。ストルガツキー兄弟の作品を読もうとした場合、古本屋や図書館を利用して読む形になるだろう。とりあえず図書館を利用し、更に興味を持ったら古本屋で購入すれば良いと思う。私自身は図書館を利用したのは本書と「滅びの都」のみであり、その理由は貸出期間によって読む時間を区切られる事を嫌った為である。古本屋を利用しているうちに収集欲が掻き立てられたという事もあったのだが…。