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小さいおうち

山田洋次監督作品『小さいおうち』を観た。
中島京子原作。原作は未読。「舟を編む」に出演していた黒木華が気になり本作を観賞。尚、本作で黒木華はベルリン映画祭女優賞を受賞している。

大学生健史の大叔母で戦前女中をしていたタキが亡くなる。タキの遺品を整理していると一冊の大学ノートと封がされた手紙が見つかる。大学ノートは健史が書くように薦め、時折読ませて貰っていた自叙伝だった。
山形から女中として上京したタキ。小説家の家で働いた後、おもちゃ会社で常務として働く平井雅樹と時子とその息子恭一が住む赤い屋根が目印の家で働き始める。息子恭一が病気になれば按摩師からマッサージを習いそれを息子に施す等家族に尽くすタキ。その後、縁談があるもそこに老人が現れショックを隠せない。同情した時子はタキを慰め、タキもまたこのままこの家で働ければ良いと泣くのだった。ある時、夫の働く会社に勤め始めた芸大出身の板倉が家を尋ねる。趣味を同じくした時子と板倉は互いに親しみを持つ。その後、夫と行きそびれたコンサートで板倉と出会う時子。一方、雅樹は板倉に縁談を持ち込み、仲の良い時子に話をまとめるよう託す。その後、時子が縁談の説得するものの板倉は固くなに拒否し続ける。そしてある時、板倉の下宿先から戻った時子の帯が結び直されている事にタキは気がついてしまう。戦況が悪化するなか時子と板倉の仲が一目につくようになり思い悩むタキ。そして板倉に召集令状が届く。板倉は最後の挨拶を終えるとタキに「僕が戦争に行くのはタキちゃんたちの為だからね」と語る。板倉の出征前、板倉の元に向かおうとする時子を止めるタキ。タキは時子を説得し手紙を書くように言う。そして手紙を預かったタキは板倉に元に出向くのだった。しかし板倉は時子の前に姿を現さず出征。戦局の悪化に伴いタキも実家に戻る。その後空襲で雅樹と時子が防空壕の中で焼死する。タキもその後の事が判らずじまいとなってしまう。
健史は自叙伝を読みながらタキが記す戦前の様子に疑問を挟み、また板倉に恋をしていたのではないかとからかう。しかしタキは呆れるばかりで相手にしない。しかし時に「長く生き過ぎた」と泣くのだった。
就職した健史は恋人から書店で「小さなおうち」という絵本をプレゼントされる。そして板倉の展覧会が開かれる事を書店のポスターで知る。板倉は戦争を生き延びていたのだ。その後、板倉の作品を収めた記念館を尋ねると学芸員から平井家から以前連絡が届いていた事を伝えられる。記念館にはタキが家に飾っていた赤い屋根の家の絵が飾られていた。健史と恋人は平井家を尋ね盲目で歩けなくなった恭一と出会う。恭一の許可を貰い手紙の封を開け中身を読むと時子がタキに促されて書いた板倉への手紙である事が判明する。タキは板倉に手紙を届けていなかったのだ。恭一は母の不倫の証拠をこの年になって見せられるとはと嘆く。その後、恭一と共に海辺を散歩する健史と恋人。恭一は普通の事が憚られる時代があったのだ、タキちゃんがこの手紙を渡さなかった事を気に病む必要は無かった、赦される事だと思うと言う。健史は大叔母に聞かせてあげたかったと涙を流すのだった。

タキが胸に閉まっていた小さな秘密。それは誰もがどこか抱えてしまう秘密であり、秘密は抱えたまま生きるしか無い。たぶんそれが人生なのだ。そんな事を思った。時子演じる松たか子は凛として美しく、若きタキ演じる黒木華もそれに劣らない。

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