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キャバ嬢の社会学

北条かや著『キャバ嬢の社会学』を読んだ。
著者のブログ等には接していたのが本書発売時は特に興味が沸かなかった。しかし家入明子氏のキャバクラ体験記を読み興味が湧いた。私は純粋なキャバクラには行った事が無い。それらしいものでは仕事場の飲み会の二次会で新宿のスポーツキャバクラに行った事が有る。接客女性はバレリーナの格好をしており、ある時刻になるとテーブルと座席が回転し女性がバレエを踊るというよく判らないものだった。壁には石原裕次郎のサイン色紙が掲げられカウンターには老齢の女性が待機し店内を見守っていた。隣に座った妹と暮らしているという女性と会話を試みるも変な同情が相手の気に触ったらしく不機嫌になり、目の前に座った明大に通っているという女性の会話を聞いていた。結局接客する女性との会話は噛み合わずつくづく自分は駄目だなと思って帰宅した。また今思えば同級生がキャバクラ嬢として働いていたという話は聞いた事がある。

本書は著者が社会学的フィールドワークとしてキャバクラ嬢=キャストとして働き修士論文として提出されたものが元になっている。著者は当初「女らしさ」や「性」を売りにする女性たちを見下していた。また高校時代クラスメイトに胸が小さいと笑われて以来、「女として欠陥品である」というコンプレックスに苛まれていたともいう。著者はそこに「カラダとカネの交換システム」を見出していた。しかし社会学を学びそれらが社会構造の一部である事を知り「カラダとカネの交換システム」への恐れは消えていったという。しかし「キャバクラ嬢を差別しているのではないか?」という問いに自らが「カラダとカネの交換システム」のなか、美醜で判断される女性はかわいそうだという差別心が潜んでいた事に気がついたという。

上記のような心境を私も否定出来ない。また本書にもある通り男性はキャストなど夜の世界で働く女性を水商売の女だとして性的に侮辱する。侮辱等とは大げさなと思うかもしれないが同情という感情も同様である。上記の接客女性の不機嫌の原因もそれだろう。私はそれだけが稼ぐ手段では無いのではと思う一方、経済的な問題が絡む事や、昨今の女性の貧困を取り上げた話題を読む限り否定出来ない。

さて本書はキャバクラの歴史や「キャバ嬢カルチャー」、キャバクラ独自のシステムや構造、キャストの客やスタッフに対する内面化されたルール、キャストのストレス=「病み」等が分析される。私はキャバクラのシステムや、キャストが「私はキャバクラ嬢だけど、キャバクラ嬢じゃない。」というコミュニケーションを取るという分析を面白く読んだ。

キャバ嬢の社会学 (星海社新書)

キャバ嬢の社会学 (星海社新書)

家入明子氏のキャバクラ体験記は以下の記事より。改めて読んだが面白い。