2014年11月14日

心と心が通じあう夢から真夜中に目覚める。狭い部屋にひとりきりだった。

多少の幸福感と気怠さ。夢と現実の対称的な有様には笑うしかない。シャワーを浴び着替え、自宅を出る。点字板に溶け込んだ大きな枯葉。バックパックのねじれた肩紐。胸元に彩られた瞬くビーズ。手首を覆う白銀の時計。片腕に握られたスマートフォン。皺を刻んだコート。日常の疲弊に抗う品々を纏うのはくたびれた人々。

「クライアントの愚痴も日々の業務の愚痴も言わなくなったら何も話す事が無くなりました。」

自転車が真横を猛烈な早さで過ぎ去っていた。

隣人の罵声が聞こえる。

遠くから車が行き交う音が聞こえる。

天冥の標Ⅷジャイアント・アークPART2は十二月十九日が刊行予定日となっている。