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『なんとなく、クリスタル』

田中康夫著『なんとなく、クリスタル』を読んだ。
菊地成孔がラジオにて朗読しており、興味を持った。

本書の概要、当時の若者の文化を多くの注釈を用いて描いたという事くらいなら知っている。しかしそれを知ったのも著者が政治家になった折りである。
実際読んでみると確かに注釈は多く、ブランドや音楽等はほとんど判らないという状況だ。しかし一番衝撃的だったのは、物語の終わりに掲げられた「人口問題審議会「出生動向に関する特別委員会報告」」、「五十四年度厚生行政年次報告書(五十五年版厚生白書)」だ。これは共に日本の少子高齢化を予測したものとなっており、この物語で描写される若者の生き方が「続かない」事を暗に示している*1。注釈による評価と少子高齢化社会が予測された世界、主人公たちはそんな事も知らず生きている*2。なるほど、であるならばそれを知る事ができ、かつ解決しようとするのなら、政治に足を踏み入れるのも道理な話である。

*1:日本では1995年に高齢化社会、1997年に少子化社会となった。

*2:しかし翻ってどうだろう、今は片手に持った携帯端末がその評価を教えてくれる。