2014年8月6日

日焼けの痛みに鞭打って自宅を出る。軒下には蝉の脱け殻、側には陽が照りつけるコンクリートの上で仰向けに脚を動かす蝉、そして蟻が群がっている。陽に焦げるか、蟻に解体されるか、もしくは幸運にも風が吹いて何処かに転がるか、無神経なアパートの住人に踏み潰されるのか、蝉の行く末を考える。少し乱暴だが靴のつま先で身体をひっくり返してやる。するとその脚で何処かへ向かう。日影に転がしたのだが、それは問題では無いらしい。思えば地中の中、この蝉は何を思っていたのだろう?思いもしないか。

おもむろに電車に乗ろうとして扉に弾き出される女性。さくらさく古典単語集を読む十代の男性。生は誰かの模倣であり、その模倣さえ誤魔化し、更に出来損ないが模倣を呼ぶ。亜流の亜流。

膝の痛みに耐えかね昼休みに皮膚科の病院を尋ねる。「海ですか?」と尋ねられ「三時間毎に日焼け止め塗らないとね」という。スボンを半分脱いで膝を確認し貰う。「腫れてはいますね」、痛み止めと軟膏を処方される。看護師にゴム手袋越しに薬を塗布される。俺は人前でスボンを下ろして何をやっているんだ、全く馬鹿らしいと思う。薬局でジェネリックだという説明を受け薬代五百円相当を払う。

痛み止めの薬が効いている。仕事中は問題無いが夕方以降は痛みにしか気がつけない状況から解放された。