2014年7月22日

子どもを持つ女性が言う。「この子には小学校三年生まで外国で暮らしてもいいと言っています。そう、小学校三年生まで。」女性が経営するブティックに入り、適当に商品を眺めていると「あなたも苦労なさったんでしょう?話を聞いたわ。」と言う。「ああ、苦労なんてそんな大層なものではないですよ。」俺は動揺しながらブティックを後にする。

午前六時起床。瞼が重い。一服してトイレに二回行く。シャワーを浴び着替える。外を眺めると救急車が一台停まっている。家を出てタオルを忘れた事に気がつき自宅に引き返す。電車を待っていると眼鏡を忘れた事に気がついた。

駅構内が静かだ。単純にイヤフォンをしていないからだろうが、浅い水の中に潜ったような静けさだ。地表が水に覆われれば世界は静かだ。波の音しか聞こえない、いや波が打ちつける大地が無ければそれなりに静かなのかもしれない。

部屋に台所にゴキブリが出た。殺虫剤を吹き掛けたが逃げて行った。こんな部屋に出てしまったが為に死ぬのだからこのゴキブリの命運も最早尽きたのだ。ふと松本人志がラジオで話していたエピソードを思い出す。東南アジアのホテルに泊まると夜ゴキブリが大量に発生しそれを殺したという。ふと背後から視線を感じ振り返るとタンスの上にゴキブリがこちらを見ていた。これを以って松本人志は「俺が仲間を殺すところを背後から見ていた。」のだと語る。例えばここでゴキブリがその場から逃げ出そうと様子を伺っていたと解釈する事も可能だ。しかしこの説明のニュアンスではゴキブリが有利な立場として表現されている。絶えず何かしらの視線に晒されているという感覚が松本人志にはあるのだと思う。