2014年7月17日

午前三時、明るい部屋の冷気で目が覚める。読書の為に枕を折って高くしていたので首筋が凝り固まっている。電気を消し枕を低くして夢を思い出していると、外から雨の音が響き始めた。仕方なく窓を開け洗濯物を取り込む。エアコンを停め、一服する。生はかけがえが無い、としても、やはり俺の生と似たような生を、誰かが既に生きたのでは無いか、俺の小さな悩みも苦しみも希望も、既に誰かが通った道なのでは無いか、そんな事を考えさせる、深夜役立たずのセンチメンタリズム。

外は涼しい。しかし何かおかしい。スマートフォンをタップすると午前七時三十五分。慌ててシャワーを浴び、しかしどうにか間に合う時間だと開き直り一服する。自宅を出ると小学生の女の子が二人、フラフラと歩いている。「ラブレターみたいな歌を学校で習ったんだけど」なんという事を甲高い声で言う。自転車に乗った女子高生たちが夏休みを前にはしゃいでいる。隙だらけの姿に幼さを垣間見る。

郵便局の駐車場を埋めているの集荷された葉書の山。隣の女性が「こんなところに置いて葉書が飛んでしまわないのかしら」「重しを置くのさ、庭の石灯籠みたいなのを立て掛けて」と応える。

窓を開けたまま畳の上で寝入っていた。涼しい風が流れてくる。男の子を連れた男女の外出、酔った隣人夫婦の帰宅、友人と連れ帰った若者の帰宅。そんな気配を察する。