2014年7月9日

白く明るいオフィスに学校で使われていた木製の机と椅子が並べられている。出社した順に席に着き教務を行うらしい。俺は着いた座席の横に誰が座るのか気にしていた。周りは女性ばかりだった。主任以上であろう女性たちはオフィスの中を立ち回っている。「人手不足だから街で見掛けた社員を連れて来てもよくなった。」等と話している。

爪に塗られた朱色の赤は肌を透かして浮かぶ血の色とは異なる。女性の薄い身体を包んだブラウスに浮かぶ肌の質感。「母と子の~」と題された封筒を開ける女性。立ち上がるとお腹の膨らみが目立つ。満員電車にお腹を庇いながら乗り込もうとする姿。アメリカは人に厳しいところだとブコウスキーは言う。日本は厳しいところだと言って見る。誰に?という問いが浮かび、女性にと答えた時、これは否定出来そうに無い。というより、結局その人の経験が答えになる。

事務所を出て駅に向かい電車に乗る。帰りの電車には何も刺激を感じない。神経が磨耗して使い物にならなくなっている。そんな感度で以てコンビニで漫画を読み自宅に戻る。部屋の窓を開け風を入れる。外灯に浮き上がる雨を思い出す。無数の雨粒が白く魚のように翻って落ちていく。シャツとスラックスを脱ぎ、捲られた裾が解き籠に投げる。つまらない事を考えては意気消沈する。これはどうしようも無い事だと呟いてみる。どうしようも無い事ばかりになる。

食事を終え、村上春樹「女のいない男たち」を読み始める。まえがきがあり、短編が並ぶ。一編読み進めるなか、どこからか音が聞こえてくる。ふとPCに目を向けると動画が再生されている。艶かしく身体をくねらせる女性に苦笑いしつつ、PCを閉じた。