2014年7月8日

スマートフォンのアラームが鳴る。同時にOSのアップロードを勧めるこの端末の融通のきかなさは何なのだ?

1mm煙草の憂鬱。失恋を唄った詩は冷静に努めれば低温殺菌され耳許を通り抜けて行く。小学生が腕に提げているのは透明のエナメルバッグ。なかに透けて見えるタオル。心無し陽射しに刺すような痛みを感じ、空を仰げば、曇天からのぞく七月の光源。路面から立ち上がる湿気と皮膚から噴き上がる汗にスラックス張り付く大腿部。

値引率、按分の計算がふと判らなくなる。一体これはどういう事だろう。単価に入り混じった消費税が頭を混乱させる。Excelに打ち込まれた数字の嘲笑。

客先の担当者が続々と長期休暇を取得して消えて行く。飛行機で移動し、そこから更に小型機で移動するような長期休暇だろうか?深閑とした森、海。呼吸が苦しくなるよう沈黙に近い静寂…では無く観光なのだろう。もちろん俺もするなら観光が良い…なぜ俺が自ら旅行するつもりになって勝手に盛り上がっているのだろう?

平野啓一郎の短編集「透明な迷宮」を読み終えたのだが、今の気分を掴んだ具体的な手応えが、これはおそらく作中に登場する、東日本大震災の経験から、この経験より前には戻れないという、不可逆という事実の奇妙さだろうか?

地球の衛星、宇宙飛行士が撮影したという、青い地球を覆う台風八号の画像。雲が中心に巻き込まれ黒い穴をつくるそれを見ながら、ふと神がどこにいるかと、地球の衛星より遠くなれば、とても地球をつぶさに見ていられないし、それより近いのならば、そろそろ見つかっても良さそうだ。しかし原理主義者は科学によって危機に晒されているなと改めて思う。