2014年3月31日

「DAYS = SUNDAY」と描かれたバッグを持った女性がいる。三百六十五日、全て日曜日。素晴らしい、月曜日の朝、繰り広げられる人の営み、生と死。駅の表示板に「~駅で人身事故…」と驚きもなく受けとる。駅ホーム、電車の進入口に立った男が、最後の気力を振り絞り、線路へ飛び込む。駅構内で交わされる日曜日の残滓を惜しむ言葉。誰の心も通わない、交わらない、朝。

どこかの大きな部屋、おそらく教室だろう。フランク=オーシャンと名乗った黒人男性が安倍首相に自分の曲を贈りたいという。届くかどうかわからないが内閣府にメールすれば良いのでは?と助言する。黒板には角張った漢字で「日本国安倍首相…」と書かれている。漢字の上にはローマ字の振り仮名の記載もある。何も言う事が無い。何度も黒板の言葉を発音して聞かせるフランク=オーシャン。発音も申し分無い。

昼前、「今日で笑っていいともが最終回ですね、アルタ前に人が集まっているらしいですよ。」女性社員が言う。ネットでニュースを見たのだろう。上司は言う。「しかし我々は昼働いて見る時間ないからなぁ。」「日曜日の増刊号を見てる人が多いんじゃないんですかね。」「俺は打ち切りの理由が知りたいよ。」「視聴率じゃないですか?」「きっとタモさんが旅行に行きたいんですよ?」皆が思い思いに語る。週明けの月曜日、客先に書類を届ける。年度末だからだろう、オフィスに活気がある。その帰り道、園児たちが大勢でどこかに向かっている。一人の園児は脚は器具で固定され、車椅子に乗り押して貰っている。園児たちは各々何かを言っている。やかましい、しかしその風景に俺は救われている。

年度末が終われば新しい出来事が待っているはずで、もちろん何も変わりはしない日常なのはわかっているけども、それでも捨てきれない思いがあるのなら、あとたかだか何時間を待つべきだと。

昨日の夜は眠れなかった。上階の入居者が騒がしかったのが原因だろうか。耳栓とアイマスクを手に入れなければ。ニュースが目に入る。朝の人身事故の詳細だった。「三十代~四十代の男性が死亡」したという。俺は手元の資料を処理しながらそのページを閉じる。

花見に備えてビールを飲む。美味くもなく不味くもなく苦い。甘いものが食べたい。アイマスクと耳栓を開封し枕元に置く。「スペースダンディ」、カウボーイビバップのスタッフ制作によるアニメと聞き視聴するが一話完結、各話番外編という構成でどの話も脱力感が伴う。ミシェル=レリス「幻のアフリカ」では原住民たちから祭祀道具を脅し奪い盗み出した事が描写されている。