川田宇一郎著『女の子を殺さないために 解読「濃縮還元100パーセントの恋愛小説」』を読んだ。
本書は以前から気になっていたものだった。
なぜ、小説に於いてヒロインが死ぬという事態が起きるのか、本書はその構造を考察したものである。
川端康成、庄司薫、村上春樹の系譜、歩行する関係から見られる主人公とヒロインの関係など、本書の考察は非常に面白くスリリングである。
その理由を簡単に要約すれば、女性は周りにあるものとして母親になれる存在であり、セックスにより母親へと近づき落ちる事(死ぬ事)が出来るからという事だ。
私たちは主人公とヒロインの関係を上記に当てはめて物語を読み込んでいる、という事になる…と一応説明しておくがいまいち読み込みが足りないのだと思う。
しかし、例えば本書のイラストを描いている浅野いにおが描き終えた「おやすみプンプン」に於いて、主人公はヒロインとセックスし、共に落ち、ヒロインの母親を殺し、レンタカーで鹿児島へ向かった。それは絶望的にも見えたが、小学生だった二人の約束が実行された、純粋で綺麗な世界ではなかったか?
私たちが彼と彼女のセックスの先を間違いなく知っていたという点に於いて。
女の子を殺さないために 解読「濃縮還元100パーセントの恋愛小説」
- 作者: 川田宇一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/03/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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