夜の果てへの旅

セリーヌ著生田耕作訳『夜の果てへの旅』を読んだ。
手に取った理由はブコウスキーがセリーヌの著作を愛読していた事を知った為である。

医学生である主人公バルダミュは友人と論争の末、勢いで第一次世界大戦に従軍、負傷後、アフリカ、アメリカを遍歴、フランスに戻り、医者として仕事をするのだが…という物語。バルダミュはあらゆるものに対して悪辣な呪詛の言葉を放つ。
なるほど、これはブコウスキーが愛しそうな作品だと思う。
他方、遍歴するバルダミュの側に現れるロバンソンの存在がこの物語の謎である。
ただの道化といえばそうなのだろう。ただし、どうにもそこには愛着のようなものが見て取れるのだ。
そんな奇妙なロバンソンの存在を気にしつつ再読するのも一興なのかもしれない。


夜の果てへの旅〈上〉 (中公文庫)

夜の果てへの旅〈上〉 (中公文庫)

夜の果てへの旅〈下〉 (中公文庫)

夜の果てへの旅〈下〉 (中公文庫)