『文化系トークラジオ Lifeのやり方』

鈴木謙介 長谷川裕+Life Crew著『文化系トークラジオ Lifeのやり方』を読んだ。
本書はTBSラジオで現在も放送されている『文化系トークラジオ Life』を書籍化したものだ。
番組プロデューサーである通称「黒幕」こと長谷川裕による番組制作の経緯やどのようにして番組が人気を得たのか、その方法が語られ、メインパーソナリティである愛称チャーリーこと社会学者の鈴木謙介のインタビュー、番組の内容を活字化されたものが掲載されている。
この番組の面白さは様々なテーマをメインパーソナリティ、サブパーソナリティ、ゲストがわいわいと語る事である。
本書に掲載されたテーマを見ると「クリスマス資本論」、「信じる論理、信じさせる倫理」、「動員の革命~10万人で何をしようか」といったもので、社会学的な話題、ジャーナリスティックな話題、映画や漫画や小説や音楽等のカルチャーの話題等に触れられる。これを聞いているのがなかなか面白い。

私がこの番組を聴き始めたのは2008年になる。新聞で鈴木謙介とLifeが取り上げられていた。その話題は秋葉原通り魔事件*1を話題にしたものだった。本来この番組をそういったものを題材にする事が無かった事を後で知った。実際、Podcastでこのテーマの番組を聴いたところ、サブパーソナリティは皆口を揃えてこの事件に興味があまり無い事を説明し、視聴者からのメールの内容にサブパーソナリティの柳瀬博一は番組の最後に「皆この事件を誤解している」と話し出すという展開を迎えた。
その後、番組の全てがPodcastとして配信されている事を知り、ほぼ全てのテーマを聴いた。また放送される番組も聴くようになった*2
私はこの番組を聴く事で話題になる社会学系の著作や映画や漫画に触れるようになった。番組のパーソナリティである鈴木謙介佐々木敦津田大介速水健朗、ゲストで登場した西田亮介、塚越健司、古市憲寿、西森路代等の著作を読んだのもこの番組を聴いたからこそである*3。私にとってこの番組はそういったものに触れる機会を与えてくれる重要なものだった。
最近は仕事や何やらで聴く機会が減っていたり、番組自体が毎月の放送から隔月放送になってしまったりと変化があるようなのだが、こういった場所に出会えた事は、20代前半の私に取ってとても貴重だったのだと今思う。真面目な話題になる事も多いのだが、上述の通り、そういったなかに、下らない話やら失敗談がわいわいと語られる事が、この番組の良さなのだと思う。

この後、久々にPodcastを聴いてみようと思う。


文化系トークラジオ Life のやり方

文化系トークラジオ Life のやり方

*1:秋葉原無差別殺傷事件

*2:日曜深夜の放送の為、リアルタイムで聴くことはあまり無かったが順次公開されるPodcastを聴いていた。

*3:現在、他のメディアにて目にする機会が多い。