『ミッドナイト・エクスプレス』

『ミッドナイト・エクスプレス』を観た。
レンタルショップで何か面白い作品でもないかなとウロウロしていると棚に「ミッドナイト・エクスプレス」という文字を見掛けた。
ああ、これが沢木耕太郎の「深夜特急」に由来する作品かと手に取った。
「ミッドナイト・エクスプレス」とは何か。それは隠語であり「脱獄」を意味する。
沢木耕太郎が自身の旅を脱獄と称した理由を私は忘れた。

大麻をトルコからアメリカを密輸しようとした若い男は刑務所にぶち込まれる。しかし当時の時代情勢―アメリカとトルコの政治的関係によって、3年で終わるはずだった刑期は30年に伸びる。
ひたすら続く暴力とだらしのない刑務所での日常。
脱獄を図ろうとする仲間、囚人同士の駆け引きによって精神病棟に入れられる仲間。
面会に来た恋人の胸をガラス越しに観ながら自慰をする若い男。
恋人はいう、「あなたはもう限界よ、自分だけしか信じないで、脱獄して」と。
そして主人公は物語の最後に恋人から隠し渡された金で深夜特急に乗車しようとするのだが…

もはや私も沢木耕太郎がいう深夜特急に乗車出来るという27歳まで時間はごくわずかである。
正直、私が深夜特急に乗る理由は何なのか、考える。この日常からの脱獄なのか、新たな経験の為への脱獄なのか、そもそも意味を求める事が間違っているのか。
せいぜい私は寝台特急に乗るのが関の山ではないかと炬燵でPCに向かう自分を省みて思うのだが…