『エッセンシャル・キリング』

吉祥寺バウスシアター爆音映画祭にて『エッセンシャル・キリング』を観た。
上空から非常にクリアな映像で荒涼としたアフガニスタンの砂漠地帯を映したかと思えば舞台を移し白銀の針葉樹林帯を映す。
アフガニスタンでアメリカ兵とグルカ兵を粉微塵にしたところ、上空から蜂の巣にされて気絶、捕虜収容所にて拷問に合うも耳が聞こえない、移送途中に交通事故が発生し脱走するも雪原地帯、出戻ろうとしたところ、民間人の車を見掛け銃を奪い射殺、雪原地帯を彷徨う。
ひたすら男が雪原地帯を彷徨う。雪原地帯で砂漠の故郷を幻視する男を観ながら、不条理という言葉が頭に浮かぶ。男の耳許ではアッラーが全ての出来事に意味があると囁く…。
男が幻視する故郷さえクリアな映像、全てが明々白々にカメラに晒される。つまり、ある時砂漠に住んでいた男が雪原に放り出される「これが現実だ」という事態。

男を一時的に匿うエマニュエル=セニエという女優が非常に美しかった。そしてこの映画の監督イエジー=スコリモフスキはイースタン・プロミスに於いて行方不明になったと見せかけて主人公に匿われた叔父さんの役を演じていたようだ。



エッセンシャル・キリング [DVD]

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