カラフル

『カラフル』を観た。
森絵都原作。
特に観たい訳ではなく、久し振りに友人と会い、友人がぜひ観たいというので付き合いで観た。予備知識も無し、思い入れも無し、久し振りに映画館で映画を観た。
しかし、映画が始まると、なんかこの内容、知っているなと思い、カラフル、カラフルと思い出していると、実家にいるときTVでこの映画の実写を観た事を思い出した。確か、嵐の二宮君が出ていたでのではなかったか、そして最後に自分の罪に気が付くという話だったのではないのか、あ・つまりラスト俺憶えている・・・開始10分で脳内ネタバレという展開を迎えた。
 実写映画について調べてみると、嵐の二宮ではなく、KAT-TUNの田中が主演していたようだ。
映画の内容は、死んだ人間が、自殺した小林真の体にホームステイし、前世で自分の犯した罪を見つけるという話。
 主人公はナビゲーターの天使から、家族の事やら、友人の話やらを聞いて、最悪な体にホームステイした事を知るのだが、結局それも誤解であった事に気が付き、「人は一面だけでなく、多面的で、綺麗な部分も汚い部分もあるのだなぁ」という事を知るとっても良いお話です。
 絵も綺麗で、技術的な事は知りませんが、写真?を多様して都会の風景や自然の風景を描きだしていきます。なぜか路面電車のエピソードが長々と続き「古い」ものに興味がない私は退屈で、映画観ている人はどう思っているのだろうかと思いましたが、俺も路面地図を見ながら、たまにニヤニヤしている事がありますし、人生には興味がない事に取り組まなければいけないことも多々あるものです。
 人が多面的である事と、それを許容する事は実際難しく、それが目の前に現われた時、非常に複雑な気持ちになり、「あんな人だったなんて」と思いますし、今時はネットで見つけた友人のブログやSNSを観て、こんな事に興味あるんだねとか、そんな事で傷付いていたのねとか、道徳的にどうなの、いつも言っている事と違うじゃないか、なんていう場面に出会う事もしばしばある訳で、平野啓一朗の「分人主義」ではないですが、人との距離感やら、立場やら色々考慮しなければ、私たちが日常会う人々の深みを知る事は難しいですし、そんな事いちいち考えてられないので、この物語の主人公のように、傷ついたり、驚いたりしながら生きていけばいいんじゃないかなと思います。
 後、自殺についてですが、正直、死にたいと思う事は度々あるし、自殺したっていいんじゃないかと思うのですが、もう辞める予定の仕事で、自殺した人の家族とお話をする機会があり、自分たちに何か出来なかったのかという問いを一生問い続けさせるという苦しみを与えるという事は、覚悟しなければしてはいけない行為なのだなと、少し改心しました。もちろん全て納得している訳ではありませんが。
 森絵都は、以前直木賞受賞作である『風に舞い上がるビニールシート』を読んだ事があるのですが、それこそ、風というか目に見えないものを感じる文章というか、結構気持ちの良い話だったという曖昧な記憶があります。

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  • 発売日: 2002/01/25
  • メディア: DVD