インスタント沼

『インスタント沼』を観た。
三木聡監督作品。麻生久美子主演。
三木聡を知ったのはテレビドラマ『時効警察』からだ。このドラマはとてもしょうもないものだった。オダギリジョー、麻生久美子など好みの出演者と、気を張らなくて良い種類のドラマだったので適当に観ていた。三木聡はこのドラマの脚本、演出をしていた。ケラリーノ・サンドロヴィッチが監督、演出をしていたりもした。
この映画を観て『時効警察』の要素が入っているなと思った。私は先ほど『時効警察』がしょうもないドラマだといった。その理由は、物語の本筋ではないところ、枝葉末節が異常に凝られている点からだ。物語の本筋より、ディテールを楽しませたい、そういう意図を感じさせる演出が常に画面にある。一方物語自体はベタな内容であった。テレビの前ではどちらかというと常に集中力が欠けている私だが、このディテールの凝りようを見逃すまいと意地になって画面に集中していた。同時にそのディテールに目を向けるばかり物語そのものはほとんど憶えていない。気散じの状態を気散じの演出によって集中させる、意表を突いた演出なのかもしれない。ただし物語の本筋は忘れられてしまうけれど。
そんな要素が入ったこの映画、楽しく観た。
ジリ貧OL沈丁花ハネメは自らが編集長を務める雑誌の休刊により会社を辞める。そんな時母親がなぜか沼に溺れて意識不明の状態に陥る。その沼からポストが発見される。ポストの中には母親が結婚する前に書いた手紙があり、それはアヤメの実の父親に宛てられていた…。
そこからアヤメと実の父親との複雑な関係が描かれるのかと思えばそうではない。実の父親が営む骨董品屋にやってくる人の依頼を手伝ったり、骨董品屋の真似事をしてみたり、何ともとりとめがない。
しかし何も起こらずに終わりはしない。なぜかこんな物語にも関わらず衝撃のラストが待っている。もちろん伏線があるのだが、まさかそうくるのかという展開に驚くばかりだ。
また出演は加瀬亮、風間杜生、『時効警察』に出演していた岩松了、ふせえりなど。加瀬亮はパンクロッカーで電気屋のガスを演じている。キレキャラとして頑張っていた。風間杜生は実の父親役を演じている。加瀬亮と風間杜生はテレビドラマ『ありふれた奇跡』でも競演していたのに今気がついた。とりあえず出てくる人ほとんど濃い役を演じている。

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