トゥヤーの結婚

 『トゥヤーの結婚』を観て来た。

 物語はトゥヤーという女性が涙を流すシーンから始まる。
 トゥヤーは内モンゴルというところで夫、子供二人と暮らしている。しかし夫は井戸掘りの最中に事故を起こし下半身不随となる。働き手が不足することを案じた夫は自分と離婚し新しい生活を勧める。そして二人は離婚する。しかしトゥヤーは再婚条件に下半身不随の元夫の面倒をみることを挙げる。美しいトゥヤーのもとに男たちが求婚する。しかしトゥヤーの再婚条件が求婚者たちを悩ませ、トゥヤーさえも傷つけていく。
 トゥヤーの挙げる条件を満たすことは出来ないことだろう。少なくとも私には出来やしない。そもそもそんな結婚などありえないではないか。では誰がそれを実現できるのか。それは愚直な者、いや愚か者にしか出来ない。無垢であるがゆえに愚か、無垢であるがゆえに特別。劇中にトゥヤーが再婚相手に選ぶ男は、間違いなく愚か者である。
 そしてその物語はトゥヤーが涙を流すシーンで終わる。ただしその涙はトゥヤーがこの物語のなかで自らを傷つけたゆえに流す涙である。