昼時テレビをつけると『江分利満氏の優雅な生活』という映画がやっていた。原作者は山口瞳という人でサントリー宣伝部で仕事をしていたらしい。内容も著者の生活がなぞられているのか、宣伝部に勤める江分利満なる男がふとしたことから編集者に原稿依頼を受け、書いた小説が直木賞を受賞するという内容であった。しかし物語の終盤、直木賞を受賞し、若い社員を連れて酒屋を回り、自ら住む社宅までもに酒をつき合わせさせるなかで、戦争の話になる。映画のなかでは、江分利満の父は戦争成金であると語られる。私はここでも日本の戦後が語られるのかと、驚いた。優雅な生活というぐらいだから、まさかその話題がでてくるとは…。そういえば最近『大日本人』を観たのだが、これにもそういう雰囲気があった。この作品に出てくる「大日本人」は日本の伝統なるものを背負っているのだが、実力がない。世間の評判も悪い。隣の国のニュースで馬鹿にされるくらいである。最後にはアメリカ的なものが物語を締めくくってしまう。松本人志が何を考えているのか知らないが、このメッセージ性を私は無視できなかった。
そんなことを想いながらチャールズ=ブコウスキー著『町でいちばんの美女』を読み終えた。これは短編集で、適当に最近読んでいた。電車のなかで読んでにやけていた。はたから見たら気持ち悪かったに違いない。内容は酒、煙草、セックス、何でもアリ。どういえばいいのか、戸梶圭太の短編に酒と煙草とセックスをぶち込む感じなのだろうか。あえていえばそんな感じ。でも全く違う。何のしがらみもないぶん、私は戸梶圭太よりブコウスキーの方が読んでいて楽だが…。しかし勢いでブコウスキーの本を結構買ってしまって、別にそう何冊も買うことなかったよなと思っている。まぁ、酒も煙草も女も全く寄せつけない体質と生活だから、良い勉強に…ならねぇ。悪い見本にしかならない。
散歩しながら江分利満がどういう意味かわかったような気がした。作品のなかでも江分利満氏が原稿用紙に江分利満と書き、その上だか横だかに「everyman」と書く。その時は何も思わなかったが、今思えば、それは戦後の日本人すべて意味しているのではないのだろうか。戦後に生きる日本人の、高度経済成長による優雅な生活。しかしその背後には戦争、敗戦の記憶が刻みこまれている日本人=「everyman」。そんなことを考えていたら鼻水がのどに降りてきて、その辺に吐きすてた。
そういえば「everyman,everywhere」と意味深な詩を歌うバンドがいる。これは戦後の日本の影響と絡めて話すものではないだろう。彼らはアメリカ南部のロックバンドの影響も受けているとか…南部の音楽*1…わからねぇ。UKロックの影響を受けていることが前面に出しているのが何でなのかは知らない。ブコウスキーを知ったのはこのバンドのヴォーカルが彼の本を手に取って写真に載っていたからなんだが…。で、その横にいた女の子が最近ビキニを着てプレイボーイの表紙を飾っていてショックを受けたんだ。別に脱ぐことないのにね。女優業だけしてればいいのにと、勝手に思ったんだ。そういえばその女の子今携帯のCMにでている。「boys be ambitious!!AHAHAHAHA」
「クローズアップ現代」を最後にちょこっと見ていたら、柳田邦男というジャーナリストが(携帯による)1パーセントの被害者(性犯罪とかそういう危険に会った人か?)を無視して、99パーセントの人のためにその危険性を伴う携帯サービスを続けていくのか?と問題提起をなさっていた。思うにその危険の伴うサービスは続くのだと思う。おそらく今回の番組のテーマは最近の携帯に対するフィルタリング機能を受けて、企画されたのだと思う。しかし、今の社会なら間違いなくその1パーセントは無視されるのではないだろうか…。でも最近の中国製食品に対する消費者の反応を見ていると、無視しないのだろうか。わからなくなった。
アメリカンコーヒーはアメリカには無いらしい。どういう味の違いがあるんだっけ、薄いんだっけ苦いんだっけ、調べればわかるかなって今調べてみたがどっちにしろ誤解であるらしい。
ブコウスキーの、短編にこんなアメリカ論が載っていた。
アメリカ。あそこは、人から生きる力の最後のひと雫までしぼりとるところだ。そうやって人を殺して葬りさるところだ。
最近TRAFFICの『TRAFFIC』というアルバムに聞き入っています。それでこの4曲目の「WHO KNOWS WHAT TOMORROW MAY BRING」がどこかで聴いたことのある感じだなと思ったら上記のバンドだった。まぁそのヴォーカルが影響を受けた作品といっていたから当然なのだろうけど。
切っても切れない関係。その答えは鎬を削ってる(削られたのか?)………(つまらないな)
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*1:20080310.あれ?勘違いか、別にアメリカ南部の音楽の影響なんかないか…すいません