『人のセックスを笑うな』を観てきた。
原作は読んでいない。原作者である山崎ナオコーラは最近新刊『カツラ美容室別室』が発売され、僕が見た限り、新刊の書評はとても好意的に書かれていた。なぜそんなことを気にするのかというと彼女のデビュー作であるこの『人のセックスを笑うな』のできばえに松浦寿輝が怒りを示した、というエピソードをどこかで読み、憶えていたからである。松浦寿輝がその新刊をどのように評価したかは知らない(笑)。
私は新聞紙上で連載されていた『指先からソーダ』というエッセイを読んでいたので、勝手に親近感と同時にちょっとした違和感も抱えて毎週その連載を読んだ。建前でしゃべる人ではないという印象、そこが違和感の原因であり、僕との考え方の違いだと思う。以上、読書の方面の話でした。
永作博美が恐ろしく可愛い。僕の数少ない語彙力でもって、小悪魔的魅力といわせてもらう。この作品には蒼井優が出てくる。僕は蒼井優贔屓だが、それでも永作博美に分がある。一枚上手なのだ、永作博美が。
そしてみな幸せそうにキスをする。キスのシャワー、ああこれがキスを浴びるということか。またカラッとしたキスなのだ、これが。ちょっと感心した。
永作博美、松山ケンイチ、蒼井優の三角関係のなかで、蒼井がどうにもならないと悟る一方、松山もどうにもならないことを悟っていくのだけども、このどうにもならない距離感、私と他者という関係。我―汝、我―それ、絶対他者・・・それもかじっただけの言葉だけど、頭のなかでうろうろしている。
平行線が二つどこまで伸びても交わることはない。けれどもしその二つの線が地平線までまっすぐ伸びていったなら、二つの平行線は地平線の上で交わって見えるのではないか。交わっているように見えるだけだが。僕はそれでも良いのではないかと思ってる。ただそれは交わらないことも認める厳しさでもあるのだが。これは次に観た『迷子の警察音楽隊』でも感じた。ただしこっちは厳しさの方を、強く感じるのだけど…。
挿入歌がとっても良い。『ANGEL』という曲だ。
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