『罪と罰』のメモ

NHK『知るを楽しむ この人この世界 悲劇のロシア 〜ドストエフスキーからショスタコーヴィチへ』へを早朝見る。講師は新訳『カラマーゾフの兄弟』の訳者、亀山郁夫。確か『カッコーの巣の上で』と同じ時間帯に放映されていたのでみそこなったのだが、偶然早朝の再放送を見ることが出来た。

さて内容は『罪と罰』に関するものであった。まず驚いたことはラスコーリニコフが起こした予定にはないリザヴェータの殺人が重要なものだったということ。リザヴェータは「神がかり」といわれ、ロシア市井の人々にとってありがたい存在であったらしい。「神がかり」は聖なる愚か者であり。愚かゆえに神に近い存在らしい。

またソーニャがいう大地への接吻はロシアにおける大地崇拝につながり、それはキリスト教へ、そして亀山氏がいうに母的なものへの許しであるらしい。ロシアにおいて『罪と罰』は母殺しの物語であるという見解を持つ研究者もいるとか。

その他、ラスコーリニコフが住む屋根裏部屋はキリストの棺の絵画をモチーフにしているのではなど興味深い話があったが詳しくは忘れた。

最後に亀山氏は罪に対する罰への意識がない時それは罰にならず、人間は動物的に罰を意識しない傲慢さを持つのではないか、と話をまとめて終えていた。次回は『白痴』について放送するらしい。『白痴』は未読である。しかし、この放送でいわれたことは、ドストエフスキーを読むにあたり当然の知識なのだろうか。だとすると…勉強しなくてはなぁ。