野良犬

 暗がりのなか散歩していると犬と遭遇した。近くに飼い主はいないようだった。辺りの匂いを嗅ぎまわりながら犬は私の後ろをついてきた。今どき野良犬とは珍しい。私は後ろからついてくる野良犬を無視して歩き続けた。辺りにひとけはなかった。ただ車一台通れるアスファルトが続いているだけである。空は今にも雨が降らんばかり雲が覆っている。私はただ歩く。野良犬が私の後ろをついてくる。私は立ち止まって野良犬を待つ。犬は私に追いついて前を歩く。相変わらず辺りの匂いを嗅ぎながら前をゆっくりと歩いていく。私は犬が離れるのを待った。野良犬は少し前を行くとこちらを振り返り、トボトボと私を通り過ぎた。小雨が落ちてきた。私は早く家に戻ろうと思った。私は後ろを振り返った。野良犬はまだそこにいた。私は焦り始めていた。雨は少しずつ強くなっていくようだった。