ツォツィ

『ツォツィ』を観てきた。
広がるスラム街、他方そびえる大都市。そこは南アフリカ・ヨハネスブルグ。そこで当たり前のようにツォツィと呼ばれる青年とその仲間は強盗殺人を行う。しかし先生と呼ばれる一人の仲間は、「今日のはやりすぎだ」「お前に品位がないのか?」と酔いながら詰問する。ツォツイは先生を殴り飛ばし、一人飛び出していく。行き先は高級住宅街。そこで高級車を女性から奪い、逃げ出すツォツィ。しかし車を乗り捨てようとした時、後部座席に赤ん坊がいることに気づいてツォツィは変わり始める。

「クワイト」と呼ばれる音楽が激しくこの物語を躍動させていく。

私がとても気になったのは、ツォツィの表情である。序盤の鋭い目つき、緩むことのない表情筋はこの映画に緊迫感をもたらす。しかし赤ん坊を拾って以降、ツォツィの表情は歪みだす。穏やかな、悲しげな、悩ましげな表情がその歪みの中から垣間見えるようになる。そしてラストシーンにツォツィが見せる表情は、序盤の緊迫感を超えて、この物語の根幹としての『ツォツィ』を見せてくれているように思うのである。

サウンドトラックと、一応原作があるようなので紹介。