読書

『33年後のなんとなく、クリスタル』

田中康夫著『33年後のなんとなく、クリスタル』を読んだ。 その題名の通り、「なんとなく、クリスタル」の33年後が描かれている。物語は田中康夫その人が「なんとなく、クリスタル」の登場人物のモデルとなった人々と再会するという内容。注も「なんとなく、…

『天冥の標Ⅷ ジャイアント・アーク PART2』

小川一水著『天冥の標Ⅷ ジャイアント・アーク PART2』を読んだ。 「天冥の標Ⅷ ジャイアント・アーク PART1」の続編。第Ⅰ巻のイサリ視点だったPART1よりその先の物語が描かれる。フェロシアンにより重症を負ったカドムはラバーズの人口内蔵を移植され生還。メ…

一〇年代文化論

さやわか著『一〇年代文化論』を読んだ。 友人から借りたもとい無理矢理渡された本の最後の一冊。見田宗介が「理想の時代/虚構の時代」と区分、これを参照した大澤真幸は「理想の時代/虚構の時代/不可能性の時代」、更に東浩紀は「「理想の時代/虚構の時…

1995年

速水健朗著『1995年』を読んだ。 友人から借りた本の中の一冊。見田宗介、大澤真幸、東浩紀等が「理想の時代/虚構の時代」の終わりの転換点として捉える1995年。この一年を分析したのが本書の内容になっている。1995年を個人史から捉えるならば、阪神淡路大…

左巻キ式ラストリゾート

海猫沢めろん著『左巻キ式ラストリゾート』を読んだ。 友人から渡された本の一冊。このまま後二冊も続く。好い加減にして欲しい。まずあらすじを確認してみよう。 目覚めた僕は記憶を無くし、12人の少女たちが暮らす見知らぬ学園にいた。僕の覚醒と時を同じ…

なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか

二村ヒトシ著『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』を読んだ。 著者の「すべてはモテるためである」を読んで以降、女性向けに書かれた本書も読もうと思っていた。ある時、暇を持て余して本屋に寄ると國分功一郎の選書に本書が含まれており「…

クリュセの魚

東浩紀著『クリュセの魚』を読んだ。 友人から渡された一冊。既に本書は友人に返している。2400年代の火星、地球と火星はワームホールの発見によってその平穏な関係が変わりつつあった。火星に住む少年葦船彰人がある年上の少女大島麻理沙と出会い恋に落ちる…

願望機

アルカージイ&ボリス=ストルガツキイ著深見弾訳『願望機』を読んだ。 「教授、あんたはどう思う、あの場所は実際に存在するんだろうか?はたして願望はかなえられるんだろうか……」 「〈ヤマアラシ〉は大金持ちになった。彼は金持ちになることが生涯の夢だ…

万物理論

グレッグ=イーガン著山岸真訳『万物理論』を読んだ。 友人から無理やり渡されたSF作品の一つ。これくらい読んでSFを語れという事らしい。人工島で催される世界を説明する原理「万物理論〈Theory of Everything〉」の発表とその界隈に出現する反動集団とカル…

コロロギ岳から木星トロヤへ

小川一水著『コロロギ岳から木星トロヤへ』を読んだ。 時間SF作品でありライトな味わい、楽しく読んだ。第45回星雲賞受賞作品。時間の泉―原初の一点から全方位に広がった無限の空白には原初の一点に向けて大小様々な楔が浮かんでいた。カイアクたちは自由に…

ストーカー

アルカジイ&ボリス=ストルガツキー著深見弾訳『ストーカー』を読んだ。 「この時間だと〈ボルジチ〉には客がいない。アーネストがカウンターの向こう側でグラスを磨いてはそれを明かりで透して仕上がり具合を調べている。ところで、これにはいつも呆れ返っ…

屍者の帝国

伊藤計劃、円城塔著『屍者の帝国』を読んだ。 急逝した伊藤計劃の作品を円城塔が引き継ぎ完成させたスチームパンクSF小説であり、シャーロック=ホームズ、フランケンシュタイン、カラマーゾフの兄弟、風と共に去りぬ等のフィクションの登場人物や実在の人物…

『丸山眞男セレクション』『丸山眞男―リベラリストの肖像』

丸山眞男著杉田敦編『丸山眞男セレクション』、苅部直著『丸山眞男―リベラリストの肖像』を読んだ。 丸山眞男の著作を手に取ったのは『丸山眞男セレクション』に収められた「「現実」主義の陥穽」を読む為だった。しかし、その他に収められた論考「国民主義…

女のいない男たち

村上春樹著『女のいない男たち』を読んだ。 村上春樹の短篇集。読後、印象に残っていたのは、再読するまで題名を忘れてしまっていたが、「木野」という作品だった。なぜ印象残ったのか?おそらく主人公である木野が物語の最後にある事を悟る、そこに切実さを…

透明な迷宮

平野啓一郎著『透明な迷宮』を読んだ。 分人主義三部作「決壊」、「ドーン」、「かたちだけの愛」。そして「空白を満たしなさい」に続く平野啓一郎の短篇集*1。本書は著者曰く「日常を束の間、忘れさせてくれるような美しい物語に思いを馳せていた。「ページ…

『さようなら、ゴジラたち―戦後から遠く離れて』

加藤典洋著『さようなら、ゴジラたち―戦後から遠く離れて』を読んだ。 小野俊太郎著『ゴジラの精神史』より引用されており、本書でゴジラを扱ったのは「さようなら、『ゴジラ』たち―文化象徴と戦後日本』、その補う内容として「グッバイ・ゴジラ、ハロー・キ…

『〈わたし〉の哲学 オートポイエーシス入門』

河本英夫著『〈わたし〉の哲学 オートポイエーシス入門』を読んだ。 本書のキーワードは「少年」である。「少年」は何かを見つけ、のめり込む。それに飽きると、また何かを見つけ、のめり込む。「少年」はこれを繰り返している。この繰り返しは自己生成とリ…

『姦淫に寄す』『風博士』

坂口安吾の短編『姦淫に寄す』『風博士』を読んだ。 河本英夫著『〈わたし〉の哲学 オートポイエーシス入門』では坂口安吾の『姦淫に寄す』と『風博士』が分析の対象になっている。これを調べてみると青空文庫やKindleで読める事が判った。尚、どのような分…

2014年の読んだ漫画メモ

Kindle Cloud Readerの導入 Amazonのwebブラウザで漫画を読めるアプリが公開され使うようになった。スマートフォンで漫画を読む気になれなかったが、ブラウザサイズならストレス無く読める。ちなみに読む時は全画面表示にしている。悪い点は漫画の情報を全て…

キャバ嬢の社会学

北条かや著『キャバ嬢の社会学』を読んだ。 著者のブログ等には接していたのが本書発売時は特に興味が沸かなかった。しかし家入明子氏のキャバクラ体験記を読み興味が湧いた。私は純粋なキャバクラには行った事が無い。それらしいものでは仕事場の飲み会の二…

ゴジラの精神史

小野俊太郎著『ゴジラの精神史』を読んだ。 「モスラの精神史」に引き続き本書を手に取った。本書は『ゴジラ』(1954年版)を中心に論じたものなっている。本ブログでは「ゴジラVSデストロイア」を言及した際『ゴジラ』(1954年版)の概要を追っている。以下は本…

メキシコ麻薬戦争

ヨアン=グリロ著山本昭代訳『メキシコ麻薬戦争 アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱』を読んだ。 原題である「El Narco(ナルコ)」は麻薬密輸人を指す。メキシコの麻薬組織の話題はネットで時折見掛けており、その凄惨さには驚かされる事がしばしば…

『なんとなく、クリスタル』

田中康夫著『なんとなく、クリスタル』を読んだ。 菊地成孔がラジオにて朗読しており、興味を持った。本書の概要、当時の若者の文化を多くの注釈を用いて描いたという事くらいなら知っている。しかしそれを知ったのも著者が政治家になった折りである。 実際…

モスラの精神史

小野俊太郎著『モスラの精神史』を読んだ。 本書は1961年に公開された『モスラ』を精神史的に読み解いたものである。 本棚で埃を被っている本書を取り出したのは「パシフィック・リム」やアメリカ版「ゴジラ」の公開による昨今の雰囲気に押されてである。お…

『天冥の標Ⅷ ジャイアント・アーク PART1』

小川一水著『天冥の標Ⅷ ジャイアント・アーク PART1』を読んだ。 大長篇「天冥の標」シリーズ最新刊。PART2は今年中に出版予定だという。 西暦2800年の植民地惑星を描いた第Ⅰ巻に本作は連なるものとなっている。第Ⅱ巻以降、西暦2000年代から西暦2800年に至る…

幻のアフリカ

ミシェル=レリス著、岡谷公二・田中淳一・高橋達明訳『幻のアフリカ』を読んだ。 本書は、ダカール=ジブチ、アフリカ横断調査団の書記兼文書係であったミシェル=レリスが1931年5月19日~1933年2月16日の1年9ヶ月間を記録した公的な記録であり日記である。…

血と暴力の国

コーマック=マッカーシー著、黒原敏行訳『血と暴力の国』を読んだ。 原題は「NO COUNTRY FOR OLD MEN」、既に映画化されており、観賞済みである。 原作を手に取った理由を考えると、似たような物語的構造を持った「オンリーゴッド」を観た事、TwitterでBase…

錯乱のニューヨーク

レム=コールハース著、鈴木圭介訳『錯乱のニューヨーク』を読んだ。 この本は以前購入していたもので、ヴァルター=ベンヤミンのパサージュ論について調べていたところ、参考図書として挙がっていたものだと記憶している。尚、ベンヤミンのパサージュ論を未…

頑張って生きるのが嫌な人のための本

海猫沢めろん著『頑張って生きるのが嫌な人のための本~ゆるく自由に生きるレッスン』を読んだ。 題名に気を惹かれ手に取った。ラジオで語る著者は面白く以前から興味を持っていた事もある。本書は著者の友人であるKが自殺した事をきっかけに書かれたという…

自発的隷従論

エティエンヌ=ド=ラ=ボエシ著、西谷修監修、山上浩嗣訳『自発的隷従論』を読んだ。 著者はモンテーニュの無二の友人と知られ、「エセー(随想録)」に於いて言及された人物として知られているという。モンテーニュは若くして亡くなった著者の本書の原稿を…