読書

三体

劉慈欣 著、大森望、光吉さくら、ワン=チャイ 訳『三体』。前日譚を入れるとシリーズ6作品の1作目になる。冒頭は文化大革命の描写から始まる。序盤は科学者たちが超自然的な事態に遭遇し、命の危険の代わりに研究を中止するよう促されるという展開。過去と…

アルテミス/プロジェクト・ヘイル・メアリー/egg

アンディ=ウィアー著『アルテミス』『プロジェクト・ヘイル・メアリー』『egg』を読んだ。ようやく『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読むことができた。 アルテミス プロジェクト・ヘイル・メアリー egg アルテミス 小野田和子 訳。 月面都市アルテミス…

web小説の読書記録/終身刑のエルフ

「SFマガジン 2023年12月号 No.760」を購入。柿崎憲の連載「SFファンに贈るWEB小説ガイド 第33回スローライフに憧れて」で紹介されていた「バスタード・ソードマン」に続き、「終身刑のエルフ」を読んだ。「終身刑のエルフ」は完結済みの作品。合計127話。ブ…

スローターハウス5/仮面の告白/高い城/web小説

年末年始の読書記録。web小説を除くと過去を振り返る物語を読んでいた。しかし過去の振り返り方も一様では無かった。 スローターハウス5 仮面の告白 『高い城・文学エッセイ』 高い城 「偶然と秩序の間で―自伝」 web小説 『バスタード・ソードマン』 『落ち…

web小説の読書記録/バスタード・ソードマン等

「SFマガジン 2023年12月号 No.760」を購入。柿崎憲の連載「SFファンに贈るWEB小説ガイド 第33回スローライフに憧れて」を読んだ。 紹介されていた「バスタード・ソードマン」から色々と読んだ記録。 『バスタード・ソードマン』 『拝啓見知らぬ旦那様、離婚…

ルーヂン/(二)登場人物・内容

(二)登場人物 ダーリヤ=ミハーイロヴナ=ラスンスカヤ モスクワでは知らぬ者はない富裕な枢密顧問官の未亡人。 ボンクール フランス人の家庭教師。60歳位。 アフリカン=セミューヌイチ=ビガーソフ 女嫌いの変人の老人。 ナターリヤ ダーリヤの娘。17歳…

ルーヂン/(一)内容

(一)内容 アレクサンドラがセミョーノフカ村のマトリョーナを見舞う。 帰り道、アレクサンドラがレジネフに出会う。 レジネフが去るとアレクサンドラの弟ヴォルィンツェフとコンスタンチンに出会い、コンスタンチンからダーリヤ邸への招待を受ける。 コン…

ルーヂン/(一)登場人物

(一)登場人物 アレクサンドラ=パーヴロヴナ=リービナ 未亡人。子供はいない。財産家。弟のヴォルィンツェフと同居。 セルゲイ=パーヴロヴィッチ=ヴォルィンツェフ アレクサンドラの弟。独身。姉の財産を管理している退役二等大尉。 マトリョーナ アレ…

ルーヂン/冒頭

ゲームに興じ疲れ、仕事に嫌気が差して、仕方なしにツルネーゲフのルーヂンを手に取ったところ、冒頭のくだりを読んで気持ち良くなった。今どきは無駄なものと省かれるのだろうが、こういった文章からしか得られない感慨がある。岩波文庫の中村融の訳は以下…

ツルネーゲフ『はつ恋』/カルーガ関門のほとり

イワン=ツルネーゲフ著『はつ恋』の主な舞台は1833年の夏、カルーガ関門のほとり、ネスクーチヌィ公園の前の別荘になる。ネスクーチヌィ公園の所在は不明。カルーガ州はモスクワから南西150kmに位置している。そのまま南西に進めばウクライナ、西に進めばベ…

『葬送のフリーレン』の時間経過(1~11巻)

『葬送のフリーレン』【原作】山田鐘人【作画】アベツカサが面白い。繰り返し読んでいる。この物語は最初に結末が語られているため、読み進めた後に再読することで新たな感慨がある。11巻が発売して内容的に一区切りを迎えアニメも始まる。そこで作品内の時…

ツルネーゲフ『はつ恋』

イワン=ツルネーゲフ著『はつ恋』を読んだ。ツルネーゲフの『ルージン』について調べているうちに『はつ恋』に興味を持ち先に読み終えることになった。青空文庫を使用して読んだ。邦訳は神西清。40がらみの男が自らの初恋について文章にして語ったという体…

2023年8月30日/冷めた風と目

8月の半ばを過ぎ、例年と比較して会社の電話が鳴らない。静かだ。新型コロナウイルスの感染症対策の変更で客先がしっかりと夏のバカンスを楽しんだ影響か、はたまた夏の災害の影響か、8月が終わろうとする今も電話は少ない。 山の日の三連休を終えた。連休明…

2023年8月11日/アイスコーヒー

土曜日と日曜日の午前中に連続で屋外のランニング兼散歩をしたところ、翌日に疲れを持ち越してしまった。最近は日焼けで顔にシミが出きるようになったため、キャップを被っている。年齢によって物事のやり方は変わるものである。7月末から客先がお盆休みに入…

ルーヂン/ビガーソフ

夏の暑さとつまらない仕事に追われ、帰宅後に椅子に身を任せていた。気分を変えようと、枕元から片付けてサイドテーブルに積んだ本と雑誌の中からからツルゲーネフの『ルーヂン』を手に取った。『ルーヂン』はSNSの復刊情報を下に購入した。岩波文庫表紙の概…

仮面の告白/マチネの終わりに

三島由紀夫の「仮面の告白」を読み進めようと試みるものの上手くいかない。しかし、最初から2~3度読み返したところ、ようやく判るところが増えてくる。脚注があるものの、教養が無いため比喩を理解できない。とはいえ、そろそろ意欲が湧き始め、先に読み進…

2023年6月18日/サラのスキャット

帰宅途中にYOASOBIのアイドルのピアノの旋律が聴こえた。 仕事で秩父に行き、秩父と言えば『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』だと思いアニメを観た。めんまが蘇った理由は主人公のためであったことに複雑な気持ちになった。私が観た仕様だとオー…

2023年5月のコンテンツ

福田晋一『その着せ替え人形は恋をする』を読んだ。着せ替え人形と書いてビスク・ドールと読む。適度な伏線をきちんと回収していく小気味良さがある。主人公の海夢(まりん)は前向きだが恋に臆病になるオタクなギャル。すっかり夢中になり、アニメも全話観…

2023年5月16日/コーヒー・余生・青春・慰め

コーヒー豆を購入して飲むようになり、約5ヶ月が過ぎた。別に数えている訳ではないのだが、コーヒーフィルターの使用量からコーヒー200杯を飲んでいることが判っている(喫茶店で飲むこともあるから200杯以上だ)。さて、職場や自宅の近くの焙煎所、喫茶店等…

『「かっこいい」とは何か?』『サロメ』

平野啓一郎著『「かっこいい」とは何か?』、オスカー=ワイルド著、平野啓一郎訳『サロメ』を読んだ。 『「かっこいい」とは何か?』 『サロメ』 『「かっこいい」とは何か?』 著者の『三島由紀夫論』を読むにあたり、まず本書を読んだ。 本書は書名の通り…

2023年5月1日/ゾゾの町・令和4周年

『ファイナルファンタジー6 ピクセルリマスター』をプレイしている。コーリンゲン村でシャドウを発見。ここでパーティーに空きがあれば仲間にできるようだ。ロックのレイチェルのイベントが発生。ロックがやたらと「守る」と連呼するのはここに理由があるら…

2023年4月30日/ECM・三島由紀夫・スタートレック

外出の休憩がてら喫茶店に寄り、同店で販売していた稲岡邦彌『新版 ECMの真実』を購入して読む。冒頭のECMオーナーのマンフレート=アイヒャーに関する文章を読んでいたところ、店主から村上春樹のエッセイ広告も載っているという話があった。確認したところ…

2023年4月23日/神の子どもたちはみな踊る

村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」の次に「神の子どもたちはみな踊る」を再読した。「神の子どもたちはみな踊る」は何度か読み直している短編集になる(その他で再読している短編集は「女のいない男たち」)。本作は日常がその前とその後では否応なく変質…

2023年4月20日/ねじまき鳥クロニクル

村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」を二十数年振りに読み直した。複雑ではあるものの、手に負えない訳でもない。感銘を受けたのは間宮中尉の物語である。長命が予言される一方、恩寵を逃した敗北と呪いの生。それはどのような生なのかと他人事として想像を膨…

2023年4月15日/変化

春の風はこんなに強いものだったか?シャツがバルコニーの床に散らばっていた。 スパイスを使用するカレーを作る一方、ルーを使用したカレーを食べたくなることもある。市販のルーだと最近はジャワカレーを食べている。よく行くチェーン店はカレーショップC…

2023年4月2日/在りよう

3月に聴いた音楽をブログにまとめる時間が掛かった。 友人に勧められ「すずめの戸締まり」について話し合われている文化系トークラジオLife「文化系大忘年会2022 Part5」のポッドキャストを聴いた。数年振りの視聴になる。同番組の初期クルーである津田大介…

『社史 本の雑誌』『一人が三人 吾輩は目黒考二・藤代三郎・北上次郎である。』

読書の習慣が付いたきっかけは、小学校高学年の時に姉が図書館から借りていた本を真似して読み始めたことになると思う。姉が借りていた本は椎名誠や村上春樹、神林長平の作品だった。当時の作家や作品に関する情報は、国語の授業の資料になる国語便覧や新聞…

2023年2月19日/愛すべき存在

Fallout4をプレイしている。シルバー・シュラウドのクエストをクリアする。以前のプレイでは衣装を手に入れるところまでしか進めていなかったらしい。こんなに長いクエストだったかという感想。シンジンがケントを人質に取った戦闘では会話を何度も繰り返し…

2023年2月6日/サバイバル

アンディ=ウィアーの「火星の人」を読み終える。事前に「火星の人」を原作とした映画「オデッセイ」を観ており、とてもおもしろかった。原作は基本的に日記形式で進み、「オデッセイ」も同じプロットになっている。読後、改めて「オデッセイ」を観た。以前…

2023年1月22日/政治性の希薄な労働生産性

村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を読み終えて、スマートフォンから目を離し、窓を除くと雲の隙間から太陽の光が差し込んでいる。名古屋を向かう新幹線の中、本を読み終えた高揚感の影響で、陽射しに生の喜びのようなものを感じ…