メモ

2011年3月11日前後について

3月11日に発生した地震について書き残そうと思っていたものの、直後に何かをしようとも思えず、かといって書こうという意欲を蔑ろにする気にもなれず、この時期に書き記す事にした。

『夢ばかり観ている場合じゃないぞ』

デスクに置かれた時計は「PM6:32」を表示している。そろそろ集中力の限界かなと思い席を立った。 まだパソコンに向かって作業している社員が部署を仕切るパーテーション越しに見えた。 オフィスを出るとエレベーターに見知った女性が乗り込むところだった。 …

モダン・アート,アメリカン 珠玉のフィリップス・コレクション

【夏に一人で赴いた神奈川県鎌倉市由比ヶ浜。砂浜にレジャーシートを敷き、曇天の空を見上げ、上半身を紫外線に晒し続けた。なぜかライフセーバーに「海が荒れているので気をつけて下さい」と声を掛けられ(それぞれ別人)、少し複雑な気持ちになった。そん…

Autopoiesis VS Phenomenology…

第一部 発現篇〜A氏の場合〜私の能力が発現したのは、紛れもなくあの日だった。私は当時、科学哲学において一定の業績を挙げ、その生活に満足しつつ、もっと成果を挙げる事が出来ると信じていた。しかし、何か決定的なものが欠けているとも自覚していた。語…

バタフライ効果の灰

将来学者になる小学二年生は人生に飽きて学校に火を点ける。 玄関に放置されたポリタンクの中に入った灯油を浸した新聞紙がビニール袋から匂いを発する。新聞紙から滴る灯油をこぼれないようビニール袋に入れたつもりが、ビニール袋の底から灯油が一滴ずつ滴…

『ロスコの部屋』

過去に『イースタン・プロミス』という映画について語る際、「イコン」に少しだけ言及している。 これは大学時代に現象学の講義で見知った事をそのまま書き綴ったものだが、イコンと現象学の関連性を講義で受ける中、ロスコの壁画はイコンと同じように志向性…

パウル・クレー展 おわらないアトリエ、あるいは同級生の訃報

高層ホテルのラウンジのソファーに腰を降ろした。眼前に広がる夜景は、震災以降による節電で幾分光が失しているかのように見えた。背後にはバーがありグラスが交わされる音と談笑が聞こえる。 手持ち無沙汰だったのでテーブルに置かれた会員制雑誌を手に取る…

『三鷹天命反転住宅』に行ってきました。

無職なったらとりあえず養老天命反転地にでも行こうと思っていましたが、調べてみると養老天命反転地は岐阜県にあるので積雪で入場が出来なかったり、施設の一部を改修していたりと時期的に微妙な状況だと判ったので、近場の三鷹天命反転住宅に行く事にしま…

イワ嬢は「実践理性批判」を買えたのか?『ちくたくぼんぼん』第2巻

勝田文著『ちくたくぼんぼん』第2巻を読みました。 今回は断然1巻より面白く読めました。 特に今回は主人公イワ嬢が表情豊かに描かれており、著者が今まで用いなかった描写が見られます。もちろん笑いどころも多く、昭和初期の設定を活かして、サーカスやら…

タクシー運転手の証言

深夜、環状7号線〜NHK〜渋谷駅前スクランブル交差点 「すいません、こんな遅い時間に。渋谷駅まで行って貰っていいですか」 「はい、かしこまりました。渋谷駅というとハチ公前でよろしいですか」 「はい、かまいません」 「それじゃ、ここだと反対方向だ…

高貴な方はニーチェを読まない―『プリーズ、ジーブス 第2巻』

勝田文著、原作P.G.ウッドハウス、『プリーズ、ジーヴス』第2巻を読みました。

散歩、つまり余暇

前職で使用していたデジタルカメラを持って散歩に出かける。 特に撮りたいものがある訳でもなく、あくまで証拠保全的な意味合いでしかカメラを使用した事は無い。 しかし、おそらくそういう理解でしかカメラを使用していないので、そのようにしか写らないと…

UNIQLOCK完結か?『UNIQLOCK MIX』

2010年11月12日付けでUNIQLOCKが『UNIQLOCK MIX』に更新されています。 MIXと冠した名前通り、今までのシリーズを網羅した映像とBGMが流れています。 時報の際も、各シリーズに登場した演出がされています。 但し、シーズン3に登場した新UNIQLOCKメンバーが…

芝生の上

空をまだら雲が覆っているものの久々の秋晴れだった。芝生の四方に「清掃作業中」の看板を立て、芝生内のゴミや石を拾いながら、ふと公園の隅に寝転がるスーツを着た男がいるのに気がついた。公園を溜まり場にしているホームレスは、清掃作業中の看板を立て…

部屋に帰って

ここ最近、壊した携帯電話の代わりにiPhoneを購入して、以前の友人たちと連絡を取っている。やれ仕事が忙しい、海外に行っていた、関西に移り住んだ、と色々な情報が入ってくる。何だ、皆、自由に生きているなと羨ましく思う反面、自由に見えるその生活の中…

終 帰道に思う事

午後9時もまわった新宿駅西口でストリートミュージシャンが唄い、その想いを語り、それを5m離れた場所から聞く人々、ちらりと彼らを見ながら歩く人々、その中にいる自分を意識しながら、宝くじがあたらねーかなー、とか、今日の夜も松屋なのか、夜ゴハン位つ…

南米のエリゼベス=テーラー 

菊地成孔を知ったの何時だったか忘れたが、図書館のなぜか回転棚だった場所に、天野喜孝のイラストで描かれた菊地秀行という作家の作品があり、別に手に取って読んだ訳でもなく、フーンとしていたら、その作家の弟が菊地成孔で、千葉県銚子市の食堂で生まれ…

MALPASO

長田進withGRAPEVINEという名義。とりあえず買ってみた。 早速家で聴いてみたら、あれ、思ってたようなアルバムじゃねーなと思っていたら、ボーナスディスクで一曲目が奥田民生作曲の「俺の車」だった。もちろんこの曲も良くて、奥田民生って良いんだなーと…

『葬送 平野啓一郎が選ぶ”ショパンの真骨頂”』 『ショパン 伝説のラスト・コンサート in Paris』

クラシックに興味があるのかと言えば、自分でも果たして興味があると声を大にしていえるのかと言えば、そうでもなく、なぜか家にあったクラシック全集を少し聴いて、そんな自分に満足したりする程度で、熱心な訳ではない。 とはいえ昨今は、漫画やら小説でク…

KikUUiki

サカナクションのアルバム『KikUUiki』を聴く。 最近は別段適当に音楽を聴いていて、iTunesからGRAPEVINEのカップリング曲を購入してみたり、その前だとフジファブリックの志村正彦が急逝した時、『CHRONICLE』を買ったりした程度。ネットを巡回していたらサ…

序 泳いで、葬って、茨の道を車で伝い、南米へ

さっき、家のラジカセが壊れた。テレビも無い、ラジオもない、ネットにのみつながった、アパートの一室には、外から聞こえる新築一戸建ての家族の団欒と隣室から聞こえる旦那を罵る奥さんの声、環七から聞こえるバイクのマフラー音とトラックの急ブレーキ音…

『プリーズ、ジーヴス 1巻』『ちくたくぼんぼん 1巻』『ウランバナ』

勝田文の漫画を4冊まとめて購入。もう一冊は『あの子にもらった音楽 愛蔵版』。本当にこの人の結末があるような、ないような緩い物語は心地が良い。ただ原作があるものは割と形式を守っているようだ。原作があるものでも思い切って緩い物語を描けばよいのに…

誰も寝てはならぬ 12巻

『誰も寝てはならぬ』12巻読了。 「物語がどのように動き出すのか、いつも思っている。」と以前書いたのだが、今回12巻を読んで考え直した。この漫画は、というかこの作者は物語の動き出しを捉えているのではないか。例えばこの作者が描いた『大阪豆ゴハン』…

UNIQLOCK PARIS STYLE

「UNIQLOCK SEASON6」サイト内にある「UNIQLOCK PARIS STYLE」というカタログサイトがどうやら見れるようになったようです。このページですとUNIQLOCK GIRLSの皆さんが表情豊かにポージングを決めています。ダンサーが気になる人は要チェックです。 このポー…

UNIQLOCK SEASON6

UNIQLOCKが舞台をフランスはパリに移して新しくなったようです。 私はUNIQLOCKはUNIQLO CALENDARが発信された段階でもう新作はないのかなと思っていました。しかしユニクロ、そういう所の空気を読むのが上手いです。果たしてUNIQLOCKはいつまで更新され続け…

惣菜

スーパーで買ってきた惣菜をレンジで温めてテーブルの上に並べる。ご飯に染み付いた漬物の人工的な紫。かまぼこのピンク。くたびれたシューマイ。申し訳程度のキャベツの千切り。蛍光灯が照らし出すテーブルの上に俺の頭の影がさす。俺の貧乏ゆすりは畳みか…

NO MORE映 画泥棒

新世紀エヴァンゲリオン新劇場版を観たりして、あさりよしとおについて調べたりした。あさりよしとおはエヴァンゲリオンでサキエルという使徒のデザインをしているということは知っていたけども、実は他の使徒もデザインしていて、今回の新劇場版にはデザイ…

誰も寝てはならぬ 11巻

『誰も寝てはならぬ』11巻を読む。 果たして物語はどのように動き出すのだろうか、いつも思っているのだが、特に今回は動き出しなし。しかし段々『大阪豆ゴハン』と内容がかぶっていく気がする。 しかし最近思うのだが、作者サラ イネスは哲学を学んだ、もし…

GRAPEVINE『TWANGS』

GRAPEVINEの新譜『TWANGS』を購入。 非常に前評判が高いことは知っていました。実際聴いてみて、確かに何か違う、ということはわかります。技術的なことはわかりませんが、前作『Sing』で音の使い方が変わったな、という気はしていましたが、今回は更に押し…

ありふれた奇跡

1月から3月にかけてテレビをを真面目に見ていた。単に暇だったということもあるが、おそらく4月からテレビの無い生活になるというのが理由だ。そこで真面目に見ていたテレビドラマは『ありふれた奇跡』だった。私は大学時代に日本文学の講義を受けていた。…